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授業料無償化から5年、なお支援に課題が
高校授業料無償化が始まった2010年度から5年間に、経済的理由で高校中退を余儀なくされた生徒が、全国で5385人で、九州で少なくとも754人に上ることが、西日本新聞社のまとめで分かりました。
経済的理由による長期欠席者(年間30日以上)も14年度だけで、全国で2044人に、九州で少なくとも約100人に上るというのです。
経済苦で、学びたくても学べない子が多数おり、授業料免除や現行の奨学給付金制度では、親の所得格差がこの教育格差を産む『貧困の連鎖』を断ち切れていないことが浮き彫りになったのです。
文部科学省は毎年度、全国の国公私立高校を対象に、中退や長期欠席の理由を調査してきました。
経済的理由を始め、中退は学業不振など8項目、長期欠席は不登校など4項目に分類から選択させ、全国総数など一部を公表しています。
『経済的理由』ではなくても、貧困が要因の『学業不振』などに分類される例もあるということですが、西日本新聞社では、同省や九州の各県・市などに10~14年度の経済的理由による高校中退者と長期欠席車の数を質問したのです。
『文科省のデータ以外は出せない』とした熊本・大分両県以外から回答を得て集計した結果、14年度は、経済的理由による中退者全国で1208人、九州では福岡47人、佐賀1人、長崎9人、熊本27人、大分9人、宮崎5人、鹿児島80人の計178人に上りました。
長期欠席者は九州では少なくとも98人で、2県を除く九州の私立別で中退者は公立28人、私立114人でした。
長期欠席者は公立52人、私立46人となっているのです。
高校では、授業料以外に教材費や修学旅行費の積立、通学費なども必要で、教育以前に家計を支えるために働かざるをえないケースも有るというのです。
複数の自治体の担当者は、『「経済的理由」でなくても、貧困が要因となって、「学業不振」などに分類される事例も多い』と話しています。
14年度から高校授業料無償化制度に所得制限が導入され、同時に低所得層の私立高校生への就学支援金は加算されました。
返済不要で、使途を限定せず、授業料以外の修学旅行費や教材費などに充てられる高校生糖奨学給付金制度も始まりましたが、なお課題は多いままなのです。
子供の貧困問題に詳しい湯澤直美・立教大教授(社会福祉学)は、文部科学省が把握している高校中退の理由は、選択肢が一つだけを選ぶ方式のため、複数回答にすれば『経済的理由』は更に多くなるだろう。
不登校の定義も病気や経済的理由によるものを除いており、調査方法の改善が必要だ。
義務教育であっても学校給付金が掛かり、高校ではより保護者負担が増える。
教育格差を解消するには、授業料以外の諸費用を含めた『完全無償化』が望まれると話しています。
今、経済的貧困から、教育貧困へと問題となっているのが沖縄県で、続いて九州地方へと続いているのです。
学校によっては毎年、制服から靴・カバンまで変更する学校もあり、家庭への負担はより深刻なものとなっており、入学以前に通えない状況も有ると云うことです。
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