座間市殺人事件から、追い詰められた人々のケアの現状は
自殺予防のために悩みを聞く全国の『いのちの電話』に相談が殺到し、対応が追いつかない状況が続いているということです。
神奈川県座間市のアパートで9人の遺体が見つかった事件では、SNSで自殺願望を漏らした女性たちが事件へと巻き込まれてしまったのです。
『以前自殺未遂したが、やっぱり死ぬしかない』
『衝動的に線路に飛び込んだ』
など、昨年、全国最多の約2万8000件の相談を受けた『さいたまいのちの電話』には毎日、悲痛な声が届いているということです。
電話5台、24時間耐性でボランティア約300人が相談にあたっています。
内藤武事務局長は『内容が深刻になり、1件あたりの相談時間が長くなった』と、指摘し、昨年は相談時間の合計が1万5400時間(1人あたり33分)と過去最高だったのです。
相談件数は最多の2013年(約3万1000件)より減りましたが、相談時間が伸びたため、電話を掛けたが繋がらなかった人がむしろ増えた可能性が有るそうです。
過去の調査では、かかった電話の3~4%しかでられなかったというデータもあるとのことです。
40年以上関わってきた女性相談員(79)は『自殺をほのめかした人から「思いの丈を話すことが出来た」と感謝されることも有る。人間関係が希薄になり、話すことに飢えた人が増えたように思う』・・・・と、話しています。
社団法人・日本いのちの電話連盟(東京都)によりますと、全国の相談件数のピークは東日本大震災後の12年の約76万件で、昨年は約68万件に減ったと云うのです。
ただ、相談内容を見ると、『死にたい』と話したり、未遂歴が有ったりするなど、危険性が高い人の割合(自殺傾向率)は11.5%に、2%程度だった1990年台より高い傾向が続いているそうです。
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座間市の事件の被害者は全員が10~20代だった
同連盟によりますと、電話相談に占める20代以下の割合は06年の23%から16年は13%まで低下したと云うのです。
しかし昨年、メール相談を始めたところ多くの利用者は若者で、自殺傾向率は40%台に上ったのです。
連盟の担当者は『テキストによる相談のほうが若い世代は馴染みやすい。若者が何を求めているか分析したい』・・・・と、危機感をにじませています。
厚生労働省の統計では、11年まで年3万人台で推移した自殺者数は16年は2万1897人、それでも日本の14年の自殺死亡率(人口10万人あたりの時差右車数)は19.5で、世界で6番目に高いのです。
立教大学の福山清蔵名誉教授(臨床心理学)は『自殺者は減っても不安や絶望、孤独を訴える人は減らず、予断を許さない。若い世代はSNSなどで心情を吐露しており、コミュニケーション方法の変化に応じた新たなアクセス手段を考える必要がある』・・・・と、指摘しています。
一般社団法人 日本いのちの電話連盟
いのちの電話 0570-783-556
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